スタイル・エッジ技術ブログ

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FUKUMACHI AIサミット2026 参加レポート

はじめに

こんにちは、しおです。

2026年5月28日、福井市のFUKUMACHI BLOCKで開催された「FUKUMACHI AIサミット2026 ~福井の産学で探る生成AI業務活用の最前線~」に参加してきました。 agile-studio.connpass.com

福井コンピュータホールディングスさんと永和システムマネジメントさんが共催するイベントで、パーソルテンプスタッフ・福井大学・永和システムマネジメント・福井コンピュータの各登壇者による生成AI活用の発表が並びました。

福井で生成AI系のイベントに参加できる機会はなかなかないので、個人的に楽しみにしていたイベントです!
今回は、主に下記のセッションについて感じたことや印象に残ったことをまとめていこうと思います。

  • 『AIとアジャイルが変える組織と未来 ── 「知っている」から「動いている」へ、今日始める変革の一手』パーソルテンプスタッフ 朝比奈 ゆり子 氏
  • 福井県内のAI活用事例と研究発表
    • 『福井大学におけるAI活用の試み』福井大学長谷川研究室 坂井 俊介 氏
    • 『タウンデジボでのAI活用とこれからのアジャイル』永和システムマネジメント 岡島 一樹氏
    • 『GitHub Copilot から始める社内AI活用』福井コンピュータ 山岸 卓矢氏

『AIとアジャイルが変える組織と未来 ─ 「知っている」から「動いている」へ、今日始める変革の一手』

基調講演に登壇されたのは、パーソルテンプスタッフ執行役員CIOの朝比奈ゆり子さんです。
パーソルテンプスタッフでは、Dify ベースのエージェント基盤で社内に5,768本ものエージェントが現場で作成されているまでに業務への AI 活用が浸透しているとのことでした。

私が一番印象に残ったのは、数字よりも「どうやってここまで来たか」の部分でした。
2023年4月、AI推進を始めた当初のメンバーは 0.5人×2名。最初は生成AIの推進を受け入れてもらうのが難しい状況だったそうです。そのとき朝比奈さんがとった戦略が、「とにかく先に作っておく」 というものでした。
これにより、世間で生成AIが活用され始めてきた事例を見て、役員が「うちはどうするんだ」と動き始めたタイミングで、「既にやってます、大丈夫です」に持っていけるような状況を作り上げました。

根回しや説得に時間を使うより、動ける範囲で先に実績を作っておく。承認を取りに行くより、既成事実を作りに行く戦略が心に残りました。

執行役員以上を集めて「AIエージェントを作れるまで帰れま10」を開催したというエピソードも印象に残っています。役員自身が手を動かして作る体験をすることで当事者意識が生まれ、「俺はAIエージェントを作ったぞ!」という達成感がその後の推進につながっていく、というお話でした。

『福井大学におけるAI活用の試み』

福井大学・長谷川研究室の坂井俊介さんのセッションは、研究者らしいクールな視点でAIの得意・不得意を整理してくれる内容でした。

特に刺さったのが、「フィードバックループを構築できる領域では、AIは圧倒的に強い」というフレームです。

数学を例に挙げていましたが、「答えの正誤が明確で、高速に検証サイクルを回せる領域」ではAIの躍進が続く、というのが坂井さんの見立てでした。逆に、文章執筆のような創造的業務はまだ人間が優位性を持つのでは、とのこと。
ソフトウェア開発に置き換えると、テストの自動実行・コードレビュー・バグの再現といった「フィードバックが定義しやすい領域」は既に実用水準に近づいていて、要件定義や設計の妥当性判断など「正解が曖昧な領域」はまだ人間の判断が必要、という整理ができそうです。

学習データの話も印象的でした。

現状の AI の学習元は Web の情報が中心。Web に存在しないデータ、誰も公開したがらないデータの学習は難しい。またそもそも Web はデータ収集・学習のために設計されたものではない。

業務特有のナレッジや社内データを AI に活用させようとするときの壁として、あらためて意識させられる話だったと思います。

『タウンデジボでのAI活用とこれからのアジャイル』

永和システムマネジメントの岡島一樹さんのセッションは、福井市・大野市で運用中の電子回覧板サービス「タウンデジボ」の開発を通じたAI活用の変遷を語るものでした。

2025年5月、開発の主力メンバーが抜けたことをきっかけに AI エージェントを本格導入。
GitHub Issue を AI にアサインするところから始まり、2026年2月には MCP で Figma を読み込んで画面実装を自動化するところまで進んでいるとのことでした。
技術的負債の解消やユーザー問い合わせ対応(NotebookLM 活用)など、着実に AI の恩恵を受けている場面も増えているようです。

このセッションで私が一番印象に残ったのは、最後に語られた AI やアジャイルへの問い直しでした。

ストーリーポイントだけが生産性の指標ではない。AIで生産性は上がっているけれど、量だけを追っていていいのか。作りすぎの無駄が生まれていないか
AI時代だからこそ、アウトカムの部分を大事にしたい。

AIによって「作る速度」が上がれば上がるほど、「何を作るか」の判断がより重要になる、ということだと理解しました。
ベロシティを積み上げること自体が目的化してしまうと、かえって本質を見失うリスクがある、というのは自戒も込めて受け取りました。

『GitHub Copilot から始める社内AI活用』

成功事例の裏に埋もれがちな「思ったよりも広がらなかった」という話を率直に語ってくださったのが、福井コンピュータの山岸卓矢さんのセッションでした。

2024年4月から GitHub Copilot を導入したものの、活用はコード補完や理解のための質問が中心で、広がりはまだこれから。その大きな要因が開発環境の構造的な制約とのことです。

  • 開発環境:Visual Studio
  • ソース管理:TFVC

GitHub Copilot は Git/GitHub との親和性を前提に設計されているため、TFVC ベースの環境では本来の力が発揮しにくいとのことでした。
それでも、Pull Request が作れない環境向けに専用プロンプトを作成して Copilot にコードレビューを依頼する仕組みを自作していたり、指示の工夫で疑似的なプランモードを実現していたりと、制約の中でも 生成AI をとにかく使いこなすぞ、という工夫が非常に印象に残っています。

参加してみて

各社におけるAI活用のリアルな状況を知ることができました。

AI を受け入れてもらうこと自体が難しいという組織風土の課題から、そもそも AI を活用できるだけの基盤が整っていないという課題までありました。 しかも、導入すればすぐさま便利になるというものではなく、取り入れる段階から各社が苦労しており、導入後もさまざまな工夫を重ねながら活用を進めていることが伝わりました。
さらに、AIを使いこなせるようになった後も、期待したアウトカムにつながるか(作りすぎの無駄が発生していないか)という新たな課題が生じることがありますし、加えて(ここは今回のセッションでは語られていませんでしたが)最近では生成AI各社のトークン量制限が活用の制約となるケースも見られるなど、コスト面での課題も発生していると感じました。

そして、イベント後のネットワーキングでは、朝比奈さんをはじめ、多くの参加企業の方々と交流が出来ました。短い時間でしたので、次の機会にはもう少し深い話ができたらと思っています。
また、イベント中に2回行われたオフィスツアー(Visionary Hub FukuiAgile Studio Park FUKUI BASE)では、先進的なオフィス環境を見学させていただき、大変興味深く、楽しい体験となりました!

この場をお借りして、素敵なイベントを企画・運営してくださった福井コンピュータホールディングス株式会社様、株式会社永和システムマネジメント様、福井大学様に深く感謝申し上げます。

福井・北陸の地でこういった場が増えていくのは嬉しいので、引き続き足を運んでいこうと思います!


今回、技術ブログでは7回目の執筆をさせていただきました。
1回目~6回目は、それぞれ下記のような記事を書いたので、お時間ある方はこちらもぜひ読んでいってください!

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